記憶の桜 -栄枯幻世-
「はぁ…。山崎、長州浪士の尾崎清太郎という男を探れ」
障子の陰に隠れていた山崎に、あの男について探らせる事にした。
「御意」
山崎は障子の陰から消えた。
「涼…、絶対見つけ出してやるからな」
俺は涼に殺させる為に、山崎にあの男を探らせた訳じゃない。
「見つけ出して…」
俺が奴を殺してやる…。
これ以上、お前に罪を重ねて欲しくねぇんだ。
俺は涼の冷たい頬を撫で、部屋を後にした。