記憶の桜 -栄枯幻世-
「なのに、長州の奴らを見てたら、皆…、尾崎に見えて来て…。土方さん、私はあと何人の長州の人間を殺さないといけないんですか?」
伏せていた顔を上げた涼の顔は酷く哀しそうで、辛そうだった。
「お前はもう斬らなくて良い。俺達が守ってやる」
そう言うと、涼は頷き、その場に座り込んだ。
肩を揺らし、声もなく泣いている。
俺はそんな涼の頭を撫でた。
涼に人を斬らせたくないという思いは、俺の自己満足だったのかもしれない。
その思いは逆にこいつを傷付けてしまった。
すべて俺のせいだ。
ごめんな、涼…。