記憶の桜 -栄枯幻世-


「今、楽にしてやる」


血に染まった刀が持ち上げられた。


それは室内を照らす蝋燭の明かりで、妖しい光を放つ。


そして、私に向かって振り下ろされた。


「姉上!!」


弟の声と共に、肉を斬り裂く不快な音が聞こえる。


「しゅ…う…?」


私を庇うようにして、弟の愁が立っていた。
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