記憶の桜 -栄枯幻世-
彼は私に視線を移すと、見定めるように見つめて来る。
「おい、お前。何故、長州浪士ばかりを狙う?洗いざらい吐いてもらおうか、花散り鬼さんよ」
彼はドスをきかせた声と切れ長の瞳で私を脅して来た。
そんな彼を私は鼻で笑ってやった。
「ふっ。そんな安っぽい脅しで落とせると思ってるの?そう思ってるなら片腹痛いよ、土方さん」
「なら、これでどうだ?」
土方さんは鯉口を切ると、私の喉元に刀の切っ先を向けた。