記憶の桜 -栄枯幻世-
私は喉元に向けられた白刃を素手で掴み、自ら喉元に近付ける。
白刃を掴んだせいで手の平が斬れ、畳に赤黒いシミをつくった。
「やるなら、やれ!」
どうせ、尾崎を殺すために花散り鬼として生きていれば、長州浪士に殺される可能性がある。
奴らに殺されるくらいだったら、彼らに殺された方が幾分マシだ。
「ったく、肝が据わった奴だ」
土方さんは溜息を吐くと、刀から私の手を外し、袂から手拭いを取り出した。