記憶の桜 -栄枯幻世-
その日はいつもと変わらず、踊りの稽古に励んでいた。
「きゃあぁあ!」
広間から母上の悲鳴が聞こえた。
「何なんだ、あんた…、ぐあぁあ!」
母上に続いて父上の悲鳴が聞こえ、尋常じゃない空気を感じ、私は広間に向かった。
そこで、生き絶えた両親を目にした。
私は愁のおかげで命拾いをしたが、私を庇った愁は大怪我をした状態で川に放り込まれ、この2年間、行方不明のままだ。
その時、私達を襲ったのが長州浪士、尾崎清太郎だった。