記憶の桜 -栄枯幻世-
「今晩は里芋の煮物ですよ」
「よっしゃ!俺、涼ちゃんの作る煮っころがし、好きなんだよな」
「同感だな」
こうやって、喜んでもらえると嬉しくて、作りがいがある。
夕食の支度をしながら、永倉さん達と話をしていた。
刹那――。
「副長!局長が…っ!」
玄関の方から島田さんの声がした。
島田さんとは、島田魁さんと言って、二番組伍長であり、監察方でもある人だ。
玄関に行ってみると、近藤さんが右肩を押さえた状態で島田さんに支えられながら、立っていた。