記憶の桜 -栄枯幻世-
「よし、治療に集中!」
私は自分の両頬を叩き、気合いを入れ直した。
「怪我の治療をしますね」
怪我人の横に座り、傷の具合を見て行く。
あの人達も頑張ってるんだから、私も頑張らないと。
それにしても、怪我人が多過ぎる。
彼らは怪我をしていないだろうか…?
ふと、井上さんが私の横に立った。
「葛葉君、大丈夫かい?」
「は、はい。大丈夫です」
井上さんは私の不安を感じ取ったのか、私の頭に手を起き、撫でてくれる。