記憶の桜 -栄枯幻世-
「土方さんっ!」
奉行所の玄関の所に土方さんと斎藤さん、原田さん、数名の隊士達が砂埃と返り血を浴びて、立っていた。
「土方さん、血が…」
彼の左手からは血が出ている。
私は袂から手拭いを出し、歯で裂くと、土方さんの左手に巻き付けた。
「皆さん、無事で良かったです」
皆、小さな傷はあるけど、無事帰って来てくれて良かった。
「あれ…?」
でも、どんなに周りを見渡しても、永倉さん達の姿が無い。