記憶の桜 -栄枯幻世-
「そろそろ江戸に着く。降りる準備をしろ」
土方さんは皆にそう命じた。
「俺も用意してくるか。涼の荷物は俺がやっておくな」
「ありがとうございます…」
原田さんに荷物の整理を頼み、私は欄干にもたれかかった。
土方さんは私の顔を覗き込み、顔色を見て来た。
「大丈夫か?」
「はい…、何とか…」
実を言うと、かなり辛い。
立っているのも、辛いくらいだ。
そうこうしていると、船は江戸に着いた。