記憶の桜 -栄枯幻世-
「…っ!?」
私は布団から跳ね起きた。
「ゆ、夢…?」
肩を揺らす程荒い呼吸を繰り返しながら、私は視線を手に移した。
手には手拭いが巻かれているだけで、あとはいつもと変わらない。
「あんな夢を見るなんて…」
たとえ夢だとしても、大好きな両親をこの手で殺めてしまった。
「ごめんなさい…、父上…、母上…」
頬に雫が伝った。
私は身体を丸め、膝に顔を押し付けた。
涙が布団を湿らせていく。