記憶の桜 -栄枯幻世-
【土方】


ったく、あの女のせいで散々な目にあったぜ…。



何故、あんな朝っぱらから女と喧嘩しねぇといけねぇんだ?



それにしても、昨日の大人しさは何だって言いたくなるくらい、あの女の剣幕は凄かった。



こつん―。



ふと、右肩に重みを感じた。



視線を移してみると、あの女が俺の肩に寄りかかり、眠っていた。



穏やかな顔して、寝てやがる…。



「お、涼の奴。寝ちまったのか?」



俺の横から原田が涼の顔を覗き込んだ。



「わりぃが何かかけるもん持って来てくれねぇか?」



俺が動けば、寝ているこいつを起こしてしまう。



「分かった」




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