あたしの彼は『ヒドイ男』
あたしの彼は『ヒドイ男』
乱暴に私の髪をかき上げて、獲物の喉元に牙をむくライオンのように、強引に首筋にキスをされた。
押し付けられた熱い唇の感触に、ぞくりと肌が粟立つ。
「ひゃ……」
驚いて首をすくめたその隙に、あっという間に狭いソファーの上に組み敷かれ、服を乱された。
ぱさりと脱ぎ捨てられたシャツを横目に見ながら、私はヒドイ男の名前を呼ぶ。
「カズ……」
覆いかぶさる逞しいカズの身体を見上げ、私はいつも決まって同じ言葉を呟く。
「カズ、すき……」
掠れた私の声を聞いて、カズは微かに目を細めた。
「知ってる」
にやりと、憎たらしいくらい余裕のある意地悪な微笑み。
「ね、カズは私のこと、好き?」
肩にしがみ付きながらそう聞くと、私の質問には答えずに、カズは片方だけ口角を上げて見せた。
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