あたしの彼は『ヒドイ男』
 

約束したのに。

一年後の今日に、プロポーズしてくれるって。
愛してるって言ってくれるって。

ちゃんと約束したんだから。

私、その約束を、ずっと楽しみにしてたのに。


それなのに、約束をやぶるの?
本当に、ヒドイ男。



私たちが住んでいた部屋は焼け落ち、木造のアパートはみるみる崩れていく。

大きな音をたてて崩れ落ちる柱。
火の粉が夜空に舞い上がる。

「ミナ……、私、カズにダイキライって言って出て来ちゃったの。出会わなければよかったって」

あの玄関。
あそこでカズの腕を振り払ったのが最後だった。


その玄関ももう、見る影もない。


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