あたしの彼は『ヒドイ男』
「うるせぇ!」
「……え?」
聞き慣れた怒鳴り声で目を開けると、そこには不機嫌なカズの顔。
慌てて辺りを見回すと、そこは火事で燃えたはずの、私たちのアパート。
それは以前とはなにひとつ変わらない状態で、私はソファーの上で寝ていた。
「……あれ?」
どうして?
私は公園にいたはずなのに、この部屋は火事になったはずなのに。
混乱しながらまばたきを繰り返していると、
「お前、寝言でかすぎる」
と、不機嫌そうに髪をかきあげながら、カズがキッチンで身を屈め煙草に火をつけようとしていた。