あたしの彼は『ヒドイ男』
自分の彼女を獲物でもいたぶるように苛めておもしろがる性悪男。
でも、私を一方的に押し倒す自分勝手な腕にも、私の呼吸を止めるくらい強引に重なる唇にも、私のことを見下ろして意地悪に笑うその瞳にも、どうしようもなく愛を感じてしまう私は、やっぱりバカな女なんだと思う。
何度も何度も、角度を変えて深くなるキス。
いつもより甘い口づけに、
「ん……カズっ」
思わず声が漏れた。
「なに?」
「カズ、すき……」
「知ってる」
ヒドイ男はにやりと、口元を引き上げて意地悪な微笑を浮かべる。
「ね、カズは私のこと、すき?」
「聞こえねぇな」
やっぱり。都合のわるいことは得意の聞こえないフリ。
私はこんなにカズのことが好きなのに、いつだって余裕で笑ってるんだから。
本当に本当に不公平だ。