あたしの彼は『ヒドイ男』
あたしの彼はやっぱり『ヒドイ男』
ある日曜日の昼下がり。
「あ、えり子ちゃんいらっしゃい」
ちりんとなったドアベルを聞いて、広瀬くんが笑顔を向けてくれる。
「こんばんは」
「いつものお席は埋まってるんで、今日はこっちにどうぞ。カズさん、えり子ちゃん来ましたよー」
今日はカウンター席に先客がいたので、窓際のテーブル席に通してくれた。
道路に面した全面がガラス張りになった、日当たりのいい席。
街路樹の色付き始めたイチョウの葉が、秋の日差しに照らされて、ハラハラと歩道に散っていた。