あたしの彼は『ヒドイ男』
ぼんやりと周りを見ていると、長い足を組み、気だるげな仕草でテーブルに肘を付いたカズが、上目づかいでこちらを睨む。
「広瀬となに話してた?」
「えっと……」
広瀬くんとの会話をカズに伝えるのはなんだか気まずくて、思わず言葉に詰まる。
黒い髪の間からのぞく、射るようなまっすぐな視線に、頬が熱くなる。
「なに、俺には言えない話?」
「ち、ちがうけど」
「じゃあ、なに?」
「広瀬くんが、カズは嫉妬深い言うから……」
俯いてそう言うと、チッ不機嫌な舌打ち。
やっぱり、そんなわけないだろって言われるんだろうなと思ってると、
「お前、鈍すぎ」
穏やかな声でそう言われた。