あたしの彼は『ヒドイ男』
 
ぼんやりと周りを見ていると、長い足を組み、気だるげな仕草でテーブルに肘を付いたカズが、上目づかいでこちらを睨む。

「広瀬となに話してた?」

「えっと……」

広瀬くんとの会話をカズに伝えるのはなんだか気まずくて、思わず言葉に詰まる。
黒い髪の間からのぞく、射るようなまっすぐな視線に、頬が熱くなる。

「なに、俺には言えない話?」

「ち、ちがうけど」

「じゃあ、なに?」

「広瀬くんが、カズは嫉妬深い言うから……」

俯いてそう言うと、チッ不機嫌な舌打ち。
やっぱり、そんなわけないだろって言われるんだろうなと思ってると、

「お前、鈍すぎ」

穏やかな声でそう言われた。


< 71 / 74 >

この作品をシェア

pagetop