カナリア鳴く空
優衣のつけたその跡を、鏡越しから眺める。

「――優衣…」

その跡を見ながら呟いたとたん、うずき出した。

強くうずいているそれを、手でおおった。

パタンと、ベッドに倒れる。

優衣に会いたい。

早く優衣に会いたい。

早くお前に会って、その躰を抱きしめたい。

唇にキスしたい。

その躰に触れたい。

お前と、繋がりたい。

どれもこれも、あげたらキリがない。

私は優衣に関してはこんなにも欲張りで、わがままな人間だったんだなと思う。
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