カナリア鳴く空
今すぐ会いたい。

でも、大事な仕事だから会いに行くことができない。

「――優衣…」

私1人では大き過ぎるベッド。

肌に感じるシーツとマットレスの感触。

それが余計に、優衣に会いたいと思う私の気持ちをあおった。

「――優、衣…」

ギュッと、首筋に当てている手を握った。

爪が当たって痛いのは、気にしないことにする。

それよりも、私のこの気持ちが痛いから。

早く優衣に会いたいと言うこの気持ちが、とても痛いから。
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