カナリア鳴く空

5.5

朝目覚めると、そこはわたしの部屋だった。

そこに誠司さんはいなかった。

もう、行っちゃったんだな。

誠司さんの寝室で、激しく求めた昨日の夜を思った。

今日誠司さんが行ってしまうことが寂しくて、だから求めた。

でも、
「逆効果だ…」

誠司さんが欲しいと思ってしまった。

わたし、淫乱だ。

あんなまでに誠司さんを求めておいて、まだ彼を欲しいって思ってる。

「――誠司さん…」

帰ってくるのは、明後日。

それまでわたしは、中毒症状に苦しまなければならない。

誠司さんがわたしの躰の中に流した毒の症状に。
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