カナリア鳴く空
本当は、その人と一緒にいるとか。

だって、何日もママが帰ってこないなんてありえないから。

――だったら、何で誠司さんと結婚したの?

カン!

鋭い金属音が、1人の静かなリビングに響いた。

怒りのあまり、皿のうえにフォークを突き立てたのだ。

「――さっさと誠司さんと別れればいいじゃないのよ…!」

そうすれば、誠司さんはわたしのものになる。

父娘だからって、悩むことはない。

堂々と恋人になれる。

ママが誠司さんと別れてくれれば、彼はわたしと一緒にいることができる。

本当に、結ばれる。
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