カナリア鳴く空
ギュッと、強く自分の躰を抱きしめた。

二の腕にくいこむ爪が、痛い。

でも、まだマシな方だ。

本当に痛いのは、誠司さんがいないと言う寂しさ。

誠司さんは明後日に帰ってくると言うのに。

2日間、誠司さんがいないだけなのに。

でも、待てないの。

躰が、心が、誠司さんを求めているから。

躰と心が、激しいくらいの中毒症状を起こしている。

「誠司さん…」

テーブルのうえの携帯電話が震えた。

着信は、誠司さん。
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