カナリア鳴く空
結婚式当日。

朝香がいる控え室の前で、私は1人ソワソワしていた。

朝香は、まだ着替えているのだろうか?

彼女のウエディングドレス姿を今すぐ覗きたい気持ちはあるが…そんなことしたら怒られるのが正解だ。

早く準備が終わらないだろうか。

そう思っていたら、
「――えっ…?」

その声に私は視線を向けた。

直後、視線を向けたことを後悔した。

「――君は…」

そう言った私の声が震えていた。

――間違える、はずがない…。

彼女を――優衣を、私が間違える訳がない。

今はゆるくパーマがかかっているキレイなショートカットの黒髪も。

映えるように輝いている白い肌も。

全部、私が間違える訳がない。
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