カナリア鳴く空
――逆効果、だった。

彼との電話は、さらに中毒症状を激しくした。

誠司さんの声だけじゃ足りない。

あなたの顔が見たい。

あなたの躰に触れたい。

あなたの指で、私をさわって欲しい。

彼と、深く繋がりたい。

その思いは、私を激しくさせた。

「――誠司さん…」

誠司さんの名前を呼んで、両手で頭を抱えた。

もう、我慢できないよ…!

あなたがここにいないなんて、わたしは耐えられない。

――だから、待ってて。
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