カナリア鳴く空
唇が離れたとたん、優衣が私の胸に顔を埋めた。

「――会いたかったです…」

呟くような声で、優衣が言った。

「――誠司さんに、会いたかったです…」

わざわざ遠くから、優衣が私に会いにきた。

「――私も、だ」

そう言った後、私は優衣を抱きしめた。

柔らかい、優衣の躰。

「――私も、優衣に会いたかった…」

私が言い終えたとたん、優衣がまた唇を重ねた。

それを受け入れるように、私は舌で優衣の唇をなぞった。
< 113 / 209 >

この作品をシェア

pagetop