カナリア鳴く空
先にベッドへ押し倒したのは、どちらの方だろう。

「――ッ、はっ!」

見あげた先にいたのは、優衣だった。

ああ、先にベッドへ押し倒したのは優衣だったのか。

そう思っていたら、優衣の手がシャツに触れる。

「ま、待って!」

私は止めた。

「――シャワー、浴びないか?」

何でこんなことを言ったのか、わからない。

どうしてこんな言葉が出たのか、私も知らない。

けど、心が戸惑っているのは確かなこと。

だから、私にそう言わせたのかも知れない。
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