カナリア鳴く空
優衣は首を横に振ると、
「それはお断りです」

ニッと口角をあげて笑う彼女に、私の心臓がドキッと鳴ってしまった。

優衣もこんな顔するのか。

冷静にそんなことを思っている自分がいた。

そう思っていたら、優衣の顔が私に近づいてきた。

チュッ

一瞬触れた唇は、すぐに離れる。

「このまま誠司さんを感じたいから」

そう言うと、シャツのボタンを外しにかかった。

どこでそのテクニックを覚えたのだろう?

外し方が、まるで私を焦らしてる。
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