カナリア鳴く空
「――えっ…?」

不思議そうに、優衣が目を丸くする。

「どうした?」

私が問いかけると、
「…ッ、だって」

優衣は恥ずかしそうに目を伏せた。

「頬だけって…」

小さな声で、キスされたその頬に手を当てながら優衣が恥ずかしそうに言った。

「足りないか?」

「――そう言う訳じゃ、なくて…」

まだ言いたそうな優衣の頬に向かって、私は手を伸ばした。

優衣と私の顔を、ギリギリの距離まで近づける。
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