カナリア鳴く空

7.5

誠司さんの誕生日を知らない訳がなかった。

だから祝いたかった。

ママと3人じゃなくて、わたしと2人で。

なのに、
「何なのよ、ママったら…」

楽しかった雰囲気が一変した。

誠司さんはママに呼び出された。

今さら何の用なんだろう。

最近早く帰ってくるし。

おかげで誠司さんと2人で過ごす時間が少なくなってしまった。

今日――誠司さんの誕生日だけは、2人でいたかったのに。

誠司さんを独り占めしたかったのに。

なのに、この場にいないママに邪魔をされた。
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