カナリア鳴く空
でもわたしの唇は、
「ママとヨリを戻すために、わたしと別れたいって言うの?」

勝手に動いて、勝手にしゃべり出した。

「そんなの許さない!

ママのところに帰るなんて許さない!」

「優衣、落ち着いて…」

「きゃっ…」

押し倒された背中に感じたのは、フカフカのふとんだった。

「私がそんなこと言う訳ないだろ…!」

誠司さんが、私を見下ろした。

「――誠司、さん…?」

わたしが誠司さんの名前を呼んだら、誠司さんの目が優しくなった。
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