カナリア鳴く空
ポツリポツリと話す優衣に、
「もういいよ」

私は抱きしめた。

「結果はどうであれど、優衣は優衣だ。

私には、優衣がいればいい。

優衣が好きだから…」

「――誠司さん…」

優衣が私の背中に手を回した。

結果は違うものだったとしても、支障はない。

優衣は優衣で、私は私。

その気持ちは変わらない。

ゴトッ

その音に、私たちは視線を向ける。

そこにいた目の前の人物に、私たちは驚いた。

「――朝香…」
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