カナリア鳴く空
ママはタイミングが悪い。

「――誠司さん、大丈夫かな…?」

わたしと誠司さんが抱きあっているところを、帰ってきたママに見られた。

それでわたしはリビングを追い出されて、1人自分の部屋。

外に出てどこかへ行く勇気なんてなかった。

と言うよりも、誠司さんが心配で仕方がない。

ママに何か言われているんじゃないだろうかとか。

いろいろと尋問されているんじゃないだろうかとか。

わたし1人で外に出て、どこかへ逃げる勇気なんてなかった。

コンコン

ドアをたたく音が部屋に響いた。
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