カナリア鳴く空
「やったー!」

家に帰り、ダッシュで部屋に入った後、サイン帳を抱きしめた。

君塚誠司からサインをもらった!

大好きな彼からサインをもらった!

そう思うと、喜ばずにはいられない。

しかも、ちょっとだけ話しちゃった!

「はあ…」

サイン帳を抱きしめながら、私は息を吐いた。

また、彼に会いたいな。

今度はコンサートでも楽屋でもなく、どこかで。

例えば、街中とか。

彼に会えることなら、会いたい。

――その願いは、悲しい形でかなうことになることをわたしは知らなかった。
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