カナリア鳴く空
話題を変えることによって、自分の気持ちをごまかした。

「はい、高校3年です。

もうすぐ卒業するんです」

優衣は私の質問に答えた

「へえ、もう3年生なんだ。

若いね」

そう言った私に、
「そんなことありませんよ。

君塚さんも充分若いです。

25歳って言っても、誰も疑わないと思います」

優衣は笑いながら答えた。

本当に、純粋だ。

私の思いなんか気がつかないくらい。

「卒業した後の進路は、何か決めてるの?」

そう聞いた私に、
「美大に…」

優衣が呟くように答えた。
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