カナリア鳴く空
その願いがかなったのは、そんなにも時間がかからなかった。

すぐにかなったと言っても、過言ではなかった。


結婚式からあっという間に、優衣の高校の卒業式。

「今日で優衣も高校卒業か」

私と一緒に朝食の用意をしながら、朝香が呟くように言った。

「そうだな、早いものだな」

そう答えた私に、
「早いものだなって、あなた優衣と会ってそんなに日が経ってないじゃない」

「…ごもっともです」

この通り、私は朝香の尻に敷かれている。

いつの時代も、母親は強いと思う。

「でも私行けないのよね、娘の晴れ舞台だって言うのに」

朝香は息を吐いた。
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