カナリア鳴く空
長いような短いような卒業式が終わった後、生徒たちは校庭へ出た。

校庭は、生徒たちでごったがえしていた。

その中でも、私は優衣の姿を1番に見つけた。

不思議なものだな。

みんなと同じ紺のブレザーを着ていると言うのに。

どうして、優衣だけが目立って見えるのだろう。

そんなことを思っていたら、
「あ、君塚さーん」

優衣が人懐っこい笑顔を浮かべながら、私に駆け寄ってきた。

「卒業おめでとう」

買ったばかりのピンクのバラを彼女に差し出した。

優衣は恥ずかしそうに顔を赤らめた後、
「ありがとうございます」

バラを受け取った。
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