カナリア鳴く空
それすらも愛しいと思った私は、もはや重症だ。

「何だか目立ちますね、君塚さん」

少し遠慮がちに、優衣が言った。

「そうか?」

私は返事をした。

確かに、そうかも知れない。

たくさんの生徒の中で、保護者が1人。

目立つと言えば目立つだろう。

「君塚さん背が高いから、すぐにわかっちゃいました」

フフッと笑う優衣に、私は思わずときめいてしまう。

どうして躰はこんなにも正直なのだろう?

頭では否定していても、躰はその通りに動いてくれない。

それが余計に、私の中の優衣への思いをエスカレートさせる。
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