カナリア鳴く空
「ただいま」

久しぶりに我が家に帰った。

朝香の浮気現場を見て以来、何となく我が家に帰りづらかった。

彼女と顔をあわせるのが怖かったから、なるべく夜遅くに帰ることを意識していた。

けどそんなことが長く続く訳もなく、今に至る。

「おかえりなさい」

ピンク色のエプロンを着た優衣が迎えてくれた。

「珍しいですね、こんな時間に帰ってくるなんて」

「仕事が早く終わってさ、たまには早く帰ろうかなって」

そう言った私に、優衣はフフッと微笑んだ。

「夕飯できてますから、着替えて手を洗ってください」

「うん、わかった」

母親みたいだと思いながら、私は寝室に向かった。
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