カナリア鳴く空
風景から人物まで、種類はいろいろである。

「すごいね」

眺めた後、私は優衣にスケッチブックを返した。

「ありがとうございます」

優衣は満足そうに微笑んだ。

「小さい頃から描いてたの?」

私の質問に、
「はい」

優衣は首を縦に振ってうなずいた。

「そっか、それはすごいね。

コンクール入賞も、ダテじゃないくらい。

今すぐ画家になったって…」

優衣がスケッチブックで顔を隠していることに気づいた。

どうやら、私は言い過ぎたらしい。

彼女が恥ずかしがるのも、仕方ない。
< 53 / 209 >

この作品をシェア

pagetop