カナリア鳴く空
私はそんな彼女の後を追うこともなく、見えなくなるまでただ見つめていた。

「――何してるんだよ…」

誰もいないリビングで、私は呟いた。

当然言葉は返ってこない。

そっと頬に自分の手を当てると、熱かった。

優衣の顔も、こんなにも熱かったのだろうか?

恥ずかしいと言うように顔を真っ赤にさせた彼女を思った。


その翌日、私は遅くに目覚めた。

当然リビングには、誰もいない。

テーブルには私の分の朝食…と、1枚の紙。

「何だこれは?」

紙を手にとり、それを見てみる。
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