カナリア鳴く空
そしたら、誠司さんはわたしのところにくるのに。

わたしのものに、なるのに。


「優衣ちゃんは料理が上手だね」

幸せそうに肉じゃがを食べながら、わたしを褒める誠司さん。

呼び捨てで、呼んで。

ママみたいに。

そんなことを、思ってしまった。

わたしを娘じゃなくて、女として見て。

誠司さんを大事にするから。

誠司さん以外の人に行かないから。

だから、わたしを見て。

わたしを、誠司さんのそばにいさせて。

わがままを言わない。

誠司さんの“女”でいたいの。
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