カナリア鳴く空
「――ビックリしたぁ……」

慌てて自分の部屋に戻ってくるなり、わたしは床に座り込んだ。

心臓が止まることを忘れたと言うように、ドキドキと鳴っている。

「――目があっちゃった…」

思い出すと恥ずかしくて、顔の温度がまたあがる。

誠司さんと目があった。

それだけで、私もう焼け死んでしまいそうだ。

そもそも、誠司さんも誠司さんだから。

褒めてくれるのは、それはそれで嬉しい。

でもちょっとは、限度を知った方がいいと思う。

「誠司さん、照れてたなあ…」
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