カナリア鳴く空
ピタリと、優衣の手が止まった。

それはほんの一瞬のことですぐに手を動かすと、
「いいお父さんだなって思います」
と、私の質問に答えた。

「アラフォーとは思えないくらいに若くてかっこよくて、誰にも自慢したいくらいのいいお父さんだなって思います」

優衣が無邪気に、楽しそうに微笑みながら言った。

「――それ以外は…?」

私の唇が動いたと思ったら、そんなことを言っていた。

「えっ?」

優衣が私の質問に首を傾げる。

ああ、なんてことを言ったのだろう。

本当に、余計だ。

後悔しても、すでに遅い。
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