カナリア鳴く空
私は、言った。

「私も、お前を娘として見たことがない。

見たこともなければ、思ったこともない」

もう関係なかった。

父親だから?

娘だから?

そんなの関係ない。

今は、彼女に自分の気持ちを打ち明けたい。

ずっと胸の中に隠していたこの気持ちを、みんな打ち明けたい。

「――ただ1人の女として、お前を思っていた」

言い終わった後、優衣の唇を奪った。

我ながら、乱暴な口づけ。

優衣は、嫌がることなく受け入れてくれた。
< 70 / 209 >

この作品をシェア

pagetop