カナリア鳴く空
――あなたを好きだって、男として愛してる

そんなこと、言える訳がない。

もし言ったら、あなたは何を言うの?

迷惑だとか、気持ち悪いとか、そんなこと言うのでしょう?

「アラフォーとは思えないくらいに若くてかっこよくて、誰にも自慢したいくらいのいいお父さんだなって思います」

だから、ウソを並べた。

そうすることしか、わたしにはできないから。

ウソを並べて、あなたへの気持ちを隠すことしか。

我ながら、わたしもウソが上手だよね。

簡単に、言えたから。

「――それ以外は…?」

誠司さんが、言った。
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