カナリア鳴く空
1度も染めたことがないようなショートカットの黒髪。

それに映えるように輝く白い肌が印象的だった。

ピンク色のドレスに身を包んだ彼女を眺めていたら、
「君塚誠司さん、ですよね?」

小さな紅い唇を動かし、尋ねてきた。

「そうだけど、君は?」

そう聞いた私に、
「わたし、あなたのファンです。

あの…」

優衣が手に持っていたスケッチブックとペンを私に差し出した。

「サインを、お願いしてもよろしいですか?

もし、迷惑じゃなかったら」

恥ずかしがるように言った優衣に、
「いいよ」

私は彼女の手から受け取ると、スケッチブックを開いた。
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