カナリア鳴く空
「――好き、です…」

優衣が言った。

「――誠司さんが好き、です…。

好きで…愛して、ます…」

乱れた吐息の合間に言う愛の告白も、私には毒だ。

「――誠司さん…」

すがるように、優衣が私を見つめる。

優衣の手が、私の胸に触れる。

優衣が私を見下ろす。

見下ろすその顔に、私は思わず見とれてしまった。

「――っあ!」

優衣がまた私のうえで感じ始める。

毒が回る。

それも速いスピードで、私の中を回る。
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