カナリア鳴く空
開くと、たくさんの芸能人のサインたち。

私が知っている芸能人もいれば、ほとんど無名に近い芸能人もいた。

この子はいつも楽屋を訪ねてきては、たくさんの芸能人たちからサインをもらっているのだろうか。

そう思いながら見つけた空いたスペースに、私は自分のサインを書いた。

「はい、これでいいかな?」

スケッチブックを返した私に、
「ありがとうございます!」

優衣は受け取ると、大切そうに胸に抱きしめた。

「わたし、これからも応援してます!

頑張ってください!」

それ以上にないくらいの笑顔で、優衣が笑う。

「こちらこそ、ありがとう」

お礼を言った私に、
「お忙しい中、ありがとうございました」

優衣は頭を下げると、その場を去った。
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