カナリア鳴く空
現地に到着した私を襲ったのは、猛烈なまでの暑さだった。

「暑ッ…」

汗が一気に吹き出て、躰を伝う。

ふと思って、私は車のサイドミラーで首筋の確認をした。

シャツでギリギリ隠れるかわからないくらいの位置を見る。

そこには、優衣がつけた跡があった。


「――ッ…!」

情事の最中、首筋に鋭い痛みを覚えたのは突然だった。

「キスマーク」

優衣が呟くように言った。

「――わたしの跡、です」


危うく意識がそっちへ行きそうになり、慌てた。

「何してくれるんだよ、こんなとこに」
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